大和住銀のレポートで本書が引用されました

みなさま、こんにちは。山崎直実です。

大和住銀投信投資顧問株式会社が11月16日に発行したクローズアップレポート「日本株ファンドマネージャーの視点『エンゲージメントは小型株こそ効果的』」(株式運用部 永田芳樹氏)を読みました。

このレポートでは、本書の第1部第2章で記述した、企業価値評価型の投資家と株価評価型の投資家の2つの投資家の分類を引用していただいており、小型株の会社に対する投資家のエンゲージメントの在り方が論じられています。

レポートの内容を簡単にご紹介すると、大和住銀の永田氏が長期視点の企業価値評価型の投資運用機関のA社を取材され、投資先企業に対する接し方、特にA社社長の「『己の不勉強をなおすつもりで謙虚な気持ちで経営陣から社員まで相手を知ることに全力を尽くす。』というエンゲージメントに対する」姿勢に刺激を受けられ、「小型株は謙虚な姿勢で臨めばエンゲージする余地は広大です。そこに大型株以上の付加価値がありお互いが成長できると信じることで、リサーチ活動の質を上げていくことができます」と、小型株の会社に対するエンゲージメントの在り方を述べられています。

A社は、一般的には予測不能と思われる10年の長期予想を行い、「10年単位で付き合う覚悟を持っているからこそ、「聞き出す」ことに注力するのではなく自らともに成長し、そして相手の成長に貢献するというギブアンドテイクの姿勢を持つことができます。(~略~)「目先のことを聞き出す」ことのみに注力するプレビュー重視の「テイクアンドテイク」投資家では、考えもつかない発想です。」と、永田氏は語っています。

上場会社のIR担当とすれば、このような姿勢で臨んでくれる投資家と話すことは、とてもありがたく感じることと思います。各事業の計画の進捗状況や足元業績などの質問に終始する通常のIRミーティングの質疑応答でなく、投資家が、経営陣の思考方法、IR担当が無意識に示す資本市場に対する企業姿勢、事業所訪問などの時に社員が醸し出す企業カルチャーなどを踏まえながら、認識している長期的な経営課題を指摘し、これについて会社側が課題認識、現状と今後の方針を説明しながら、双方の誤解や認識のずれなどを胸襟を開いて語り合えるなら、これほどありがたいことはないと思います。IR担当とすれば、この投資家の声を背景に、IR担当としての使命感を抱いて、社内でも気がついていなかった経営課題を、社長の前でも臆することなく取締役会や経営企画部門などで伝えることができるからです。

同レポートでも語られていますが、小型株の会社は、専従のIR担当がなく財務担当や広報担当がIRを兼務している場合が多いため、投資家から「エンゲージメントをしたい」と構えられると、対応が消極的になりがちです。それは、「過去に外資系の運用会社に、一般的な日本人には不遜だと感じる態度で接せられたり、一所懸命IRをしても短期利益を追求されるだけだったという経験があったり」するからだと同レポートでも述べられています。

しかし、だからといってこれからも投資家との対話に消極的でいることは得策ではなく、スチュワードシップ・コードにより、投資家が試行錯誤でエンゲージメントを行うことに呼応して、上場会社も、投資家からの質問に答えるだけではなく、時にはこちらから質問をするなど、建設的なエンゲージメントとするべく前向きに臨むことが重要だと考えます。

 

〔引用元〕
大和住銀投信投資顧問株式会社
クローズアップレポート (2015/11/16)
「日本株ファンドマネージャーの視点 -エンゲージメントは小型株こそ効果的!-」
http://www.daiwasbi.co.jp/column/etc/pdf/closeup_20151116_fm.pdf


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