攻めのガバナンスって?

攻めのガバナンスとは?

攻めのガバナンスとは?

みなさま、こんにちは。

さまざまな機会を頂戴し、本書に関わる講演を行っています。

その中で「攻めのガバナンス」とは何かというご質問を受けます。

ガバナンスは守りのもの。不祥事を未然に防ぎ、しっかりとした経営をしてもらうために、独立性の高い社外取締役の導入を求めたり、会計監査人の選解任・不再任の議案を監査役(会)が決めることになったり、どちらかと言えば、監督や監査に力点をおくものという印象があります。

しかしながら、ガバナンスコードでは、「攻めのガバナンス」という考え方に立っています。

監督機能を高めることが、どうして攻めなのか?

これは、一言で言えば、社外役員が、取締役会において、意思決定の客観性と合理性を担保することにより、適切なリスクテイクができないでいる経営陣の背中を後押しすることです。

これまでの日本企業の多くは、低収益に甘んじ、赤字事業を抱えて構造改革に真剣に取り組まず、イノベーションを興すべく挑戦してきませんでした。これは、経営陣が適切なリスクテイクを取ってこなかったからであり、その背景には、4~6年間の短期バトンリレーの社長・経営陣の任期であったことや、その取締役会の意思決定に結果責任を求めること(株主代表訴訟などのリスク)などがあったと言われています。

そこで、ガバナンスの起点である株主の利益代表であり、独立性の高い社外取締役が、取締役会の意思決定のプロセスにおいて、

①意思決定に必要な情報はすべて出されたか

②議論は出尽くしたか

③最終的な意思決定の内容は、客観的に社会的に合理性があるか

の観点から監督し、十分にこれらの条件を満たしていると、その意思決定に客観性と合理性を担保するならば、その意思決定によって経営陣が業務執行した結果、たとえ意図したとおりの良い結果にならなかったとしても、その経営陣の結果責任は問わないこととする考え方です。これにより、経営陣に健全な企業家精神を発揮させ、適切なリスクテイクを取らせようというものです。

この場合における、リスクテイクとは3つの方法があると考えます。

(1)成長戦略としての取組み

いわゆる新規事業、新製品、新技術開発、新市場創造などに大胆に取組むこと

(2)財務のリスクテイク
過度に財務の健全性を追求するのではなく、適切な資本構成で適切な資本コストとなるよう管理すること。

(3)最適なキャピタルアロケーション
過去に囚われず、長期戦略に基づき、ヒト・モノ・カネ・知識・社会・環境などの経営資源を適切に配分すること。場合によっては、資源を配分せずに撤退ということも決断すること

これらのリスクテイクを経営陣が行えるようにするために、コードでは、体制づくり、環境整備を求めています。監督・監査機能を高め、守りを固めることで、積極的な攻めに転じさせようというものだと考えます。


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